【心理学】苦労して得たモノほど価値が高いと錯覚する3つの理由とは?
あなたはこんな経験をしたことはありませんか?
- 頑張って登った山から見る景色がとても感動的
- 発売当日に並んで買ったゲームソフトが、他のソフトより大事に思える
- 自分で一から料理を作ると、けっこう美味い
- 1時間行列に並んで食べたラーメンはやっぱり美味い
えっ?あたりまえじゃない?って思ったかもしれませんが、これらの経験はすべて錯覚によって感情が歪められている可能性があります。
本記事では、私たちの認知を錯覚させる3つの心理学的効果を紹介します。
- イケア効果(IKEA effect)
- コントラフリーローディング効果 (Contrafreeloading effect)
- 認知的不協和と自己欺瞞 (Congnitive dissonance & Self-deception)
- まとめ
イケア効果(IKEA effect)
イケア効果とは、スウェーデン発祥の大型家具専門店「IKEA」が由来の心理効果で、自分で作ったモノは本来の価値より高く感じてしまう現象です。
【イケア効果の具体例】
- 久しぶりに夕食のおかずを作ったところ、いつも買ってくるスーパーのおかずより美味しいと感じる
- 自分の書いた文章がよく見える
- 自分で組み立てたイスは愛着が湧く
- ブロッコリーがもともと嫌いだったが、自分で茹でた出来立てのブロッコリーにマヨネーズをかけて食べたら美味しいと感じる
このように、出来上がったモノに対して高い評価をします。
夫からすると、「普段から料理を作っている妻が作ったハンバーグより、たまにしか料理しないけど自分が作ったハンバーグの方が美味しい」と思っているかもしれませんね。
この効果は、ひと工程でも手を加えれば発動すると言われています。
コントラフリーローディング効果 (Contrafreeloading effect)
コントラフリーローディング効果とは、何もしないでモノ(食事)を得るよりも労力を払って得たモノを好む心理傾向です。
言い換えれば、労力を払って得たモノの方が価値があると錯覚していることになります。
【コントラフリーローディング効果の具体例】
- すぐ近くのスキー場よりも、少し遠出したところにあるスキー場に行きたいと思う。
- 苦労して登った山からの景色が、余計にキレイに見える。
- 親からお小遣いでもらった一万円より、一日かけて一生懸命働いて自分で稼いだ一万円の方が大事に思える
ちなみに、言葉の意味を分解すると、contra- : 反対(接頭語)+ freeload : たかる、タダで貰う + ing形(動名詞)です。
つまり、コントラフリーローディングとは「反対+タダで貰う = 労力を支払って貰う」という意訳になります。
認知的不協和と自己欺瞞 (Congnitive dissonance & Self-deception)
認知的不協和とは、自分が正しいと思っていることに対して、それと矛盾することが発生したときに生じる不快感です。
そして、人はその不快感を味わいたくないので、真実を「自分にとって都合が良くて矛盾のない事実」にすり替えてしまうことがあります。
これを自己欺瞞といいます。
【認知的不協和と自己欺瞞の具体例】
あなたは人気店のラーメンを食べようと思い、そのラーメン屋の行列に並んでいるとします。
やっとの思いで店内に入り、注文したラーメンを食べたところ、思いのほか美味しくありませんでした。
ここで認知的不協和が発生します。
長蛇の列に並んで労力と時間を消費したのだから美味しいラーメンに違いないという認知と、実はそんなに美味しくないラーメンであったという事実が矛盾し、不快な気持ちになります。
それを解消するために
「薄味 → 素材の味が引き立つ上品な味」
などといった、失われた労力と時間に見合う理由を脳が勝手に探し出して、ラーメンに都合の良いプラス修正をかけてしまいます。
結果として、不快感を回避して一定の満足を得ることができると考えられます。
まとめ
苦労して得たモノほど価値が高いと錯覚する理由には、「イケア効果」、「コントラフリーローディング効果」、「認知的不協和と自己欺瞞」が大きく関わっていることが分かりました。