AirPodsがなぜ高校生に特別人気なのか?【バンドワゴン効果・同調心理・ヴェブレン効果】
最近、ワイヤレスイヤホンを付けながら通学や通勤している方をたくさん見かけるようになりました。
中でも、AppleのAirPods(エアーポッズ)は、白色で特徴的な形をしているので、すれ違うだけですぐ分かります。
これからAirPodsの購入を検討している方もいるのではないでしょうか?
お値段は、というと、AirPodsが定価25,080円(税込)、AirPods Proが定価30,580円(税込)です。
高額な値段設定にも関わらず、絶大な人気を誇り、飛ぶように売れています。
注目すべきなのは、このAirPodsが社会人だけでなく、特に高校生に支持されているという点です。
高校生に約3万円は結構ハードルが高いと思います。
なのに、なぜ高校生にAirPodsが人気なのでしょうか?
本記事では、その人気の秘密を心理学的に解明してみようと思います。
- イヤホンの販売数ランキングでAirPodsは何位?
- 流行の中心は高校生か?
- 【理由①】ヴェブレン効果が働いているから
- 【理由②】バンドワゴン効果が働いているから
- 【理由③】同調心理が働いているから
- まとめ
イヤホンの販売数ランキングでAirPodsは何位?
本記事を執筆している時点(2021/6/28)でのヘッドホン・イヤホン月間売れ筋ランキングを見ると、ご覧の通りでした。
【ヘッドホン・イヤホン月間売れ筋ランキング】
1位 アップル AirPods Pro
2位 アップル EarPods
3位 アップル AirPods
4位 ロジクール Stereo Headset H111
5位 SCE PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット
(集計期間:2021年5月1日~31日)
引用元:BCNランキング
http://www.bcnretail.com/research/ranking/monthly/list/contents_type=121
流行の中心は高校生か?
10代・20代・30代を対象としたワイヤレスイヤホン使用率を、2019年と2020年で比較すると、以下のとおりでした。
【10代】
2019年 32.6%
⇒ 2020年 59.4% (+26.8%)
【20代】
2019年 31.1%
⇒ 2020年 54.8% (+23.7%)
【30代】
2019年 32.2%
⇒ 2020年 50.1% (+17.9%)
引用元:TesTee Lab.
http://www.google.co.jp/amp/s/lab.testee.co/earphone-result_2020%3famp
この結果を見ると、2019年には横並びだったワイヤレスイヤホン使用率が、2020年には10代の使用率が特に高くなっています。
つまり、高校生や大学1・2年性がワイヤレスイヤホンをよく使っていると考えられます。
また、10代には小・中学生も含みますので、高校生だけに限定すれば、もっと高いワイヤレスイヤホン使用率なのではないかと推測されます。
そして、ワイヤレスイヤホンの中でもダントツで売れているAirPodsが高校生から特に好まれていると考えられます。
それでは、なぜ高校生にAirPodsが人気なのでしょうか?
【理由①】ヴェブレン効果が働いているから
AirPods流行の原因の一つにヴェブレン効果が考えられます。
「ブランド品や高級品を持ちたい、見せたい」という人の欲求を原動力とする消費促進効果です。
アメリカの経済学者ソースティン・ヴェブレンによって発見され、後にアメリカの理論経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインにより理論が提唱されました。
誰しも高級ブランドを持って他人に見せびらかせたいと思う欲望を多かれ少なかれ持っていると思います。
しかし、高校生はあまりお金を持っていませんので、グッチやエルメスのバッグなどの一流ブランドは買えませんし、持っていたとしてもクラスで浮いてしまうでしょう。
その点AirPodsは、高校生にとってギリギリ手が届くちょうど良いブランド品であり、かつ耳に付けることで目立たせやすい特徴を持つ絶妙なアイテムなのです。
この理由も、高校生のAirPods人気の一因と言えるでしょう。
【理由②】バンドワゴン効果が働いているから
AirPodsが高校生に支持されているもう一つの理由として、バンドワゴン効果が挙げられます。
「多くの人から支持されている物を"良いもの"であると判断する」心理効果です。
アメリカの理論経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインによって提示されました。
つまり、たくさんの人が買った商品を、「きっと良いものだろう」と思ってしまう現象です。
具体的を挙げると、
・Amazonで星5のレビュー数が多い商品の方が安心して購入できる
・鬼滅の刃という漫画が流行っているみたいだから、気になって読んでみる
・行列のできているケーキ屋さんのケーキを美味しそうに感じる
これらの例と同じように、AirPods人気にもバンドワゴン効果が働いていると考えられます。
つまり、高校生は「AirPodsすごく人気で、友達もみんな買ってるから私も欲しい」と思ってしまうということです。
【理由③】同調心理が働いているから
AirPods人気の理由の一つに、同調心理が考えられます。
アメリカ人の社会心理学者ソロモン・アッシュは、同調を心理学的に解明しようと次のような実験を行いました。
アッシュ・パラダイム実験
被験者8人に、上のような線が描かれたカードを提示しました。1枚目のカードには、線が1本だけ描いてあり、2枚目のカードには線が3本描いてありました。そして、3本のうち1本だけが、1枚目のカードの線と同じ長さでした。
被験者には、この3本の線のうちのどの線が1枚目のカードの線と同じ長さかを当てるテストを出しました。
実は、この被験者8人のうち7人はアッシュが手配した"サクラ"で、本物の被験者は1人だけでした。
そして、アッシュは、サクラの7人にわざと間違った回答をするように指示し、本物の被験者が7人の回答に同調するかどうか調べました。
その結果、被験者のおよそ3分の1にあたる32%の人が、同調して間違った回答を選んでしまいました。
参考文献:「図解心理学大図鑑」および「眠れなくなるほど面白い社会心理学」
以上の結果から、「絶対に間違えないような問題でも、多くの人が不正解を支持すると、自分も不正解を選んでしまいたくなること」が、アッシュによって示されました。
このような人々の心理が、「同調心理」です。
つまり、AirPods購入者の一部は「まわりのみんなが買ってるから私も買おう」という同調心理が働いた結果、AirPodsを買うに至ったと考えられます。
特に高校生は同調心理が強い?
さきほど説明した同調という行動は「集団凝集性が高い」、言い換えればグループ内の絆が強いほど起こりやすいことが分かっています。
これは何となく経験的に分かると思います。
もし、仲良しグループで「カラオケ行こう!」って空気になった時、自分1人だけ断るのはかなり勇気が要ると思います。
しかし、あまり仲良くないグループであれば、比較的断りやすいでしょう。
これは「規範的影響」という心理が働いています。
また、同調行動は、判断力が培われていない若い世代ほど起こりやすいとも言われています。
これは「情報的影響」という心理が働いています。
この規範的影響と情報的影響の観点から、特に高校生は以下のような状況にあるため、同調心理が働きやすいと考えられます。
・クラスという集団凝集性の高い環境で多くの時間を過ごす
・大学や社会に出る前になので、経験不足であり判断力が乏しい
という同調が起こりやすい特徴があります。
また、TwitterやFacebookなどのSNSの利用も同調心理を加速させていると考えられます。
以上の理由から高校生は同調行動を起こしやすく、それがAirPodsの流行の一因になったと考えられます。
まとめ
AirPodsが高校生に特に人気な理由は、以下の3つの心理効果が原因ではないかと考えられます。