【欲求不満度の比較】仕事と育児どっちが大変?
「仕事の方が忙しいに決まってる!」
「いや育児の方がよっぽど大変だ!」
どちらが大変か、という問題は多くの人が考えていることだと思います。
しかし、自分の意見が正しいと思い込む「確証バイアス」のせいで、誰しもどちらが忙しいか客観的に判断できないのが現状です。
そこで、本記事では、仕事と育児のどちらが、ストレスの多い環境か検証したいと思います。
ストレス=欲求不満
人は、食欲や睡眠薬などの欲求を満たそうとする行為を邪魔されたり、欲求不満な状態が続いたりすると、ストレスを感じると言われています。
例えば、眠たいのに叩き起こされるとイラッとしますよね。それがストレスです。
(ストレスの感じ方には個人差があります。)
生理学的欲求の満足度の比較
仕事と育児で、生理学的欲求がどの程度満たされるか調べて、ストレスの大きさを比べたいと思います。
生理学的欲求とは、人が生きていく上で最も基本的な欲求で、睡眠欲・食欲・排泄欲があります。
睡眠欲満足度の比較
平均的な会社員であれば、睡眠が満足に取れない状況にはならないと考えられます。
しかし、激務と言われている病院勤務、商社勤務、コンサルタント、システムエンジニアなどの職業に就いている方は睡眠不足を抱えている可能性が高いです。
一方で、育児者の睡眠不足はどの家庭でも直面している問題です。
育児では赤ちゃんの夜泣きで強制的に何度も起こされて、その度にミルクや抱っこをしなければならないため、育児者のほぼ全員で寝不足が慢性化しています。
この睡眠不足は、激務の仕事と同程度と言っても過言ではありません。
育児 ≒ 激務の仕事
食欲満足度の比較
一般的な会社員であれば1時間の昼食休憩が認められており、食事抜きで働くことは少数と言えるでしょう。
一方で、育児では食事をゆっくり取る時間がありません。
授乳やおんぶ中に食事を取ったり、やっとの思いで寝かしつけた赤ちゃんを起こしたくないあまり、食事を断念することもあるでしょう。
排泄欲満足度の比較
排泄欲という言葉は一般的ではありませんが、生きるためには欠かせない重要な欲求です。
一般的な会社員であれば、トイレに行けないケースはレアだと思われます。
ただし、外科医やバスの運転手、マスコットアクターなどの一部の職業はトイレを制限される機会が多いと言われています。
一方で、育児では自由にトイレに行けないことが度々あります。
というのも、後追いが激しかったり、赤ちゃんが抱っこの状態で寝てしまって置けなくなってしまったりするため、トイレすらままならない場合があります。
育児 ≒ トイレ制限のある一部の職業
社会的欲求の満足度の比較
次は、社会的欲求の満足度を比較して、仕事と育児でどちらがストレスが多いか確かめたいと思います。
社会的欲求とは、人が社会生活を送る上で求める欲求で、特に仕事や育児との繋がりが強いものに承認欲、コントロール欲、達成欲などがあります。
承認欲満足度の比較
承認欲とは、他人から褒められたり認められたりしたいという欲求です。
仕事では、上司から成果を褒められたり、同僚と実力を認め合ったりする経験は割とあると思います。
クライアントから感謝されることもあるでしょう。
また、仕事の報酬としてお給料やボーナスをもらうことでも承認欲求は満たされると思います。
一方、育児ではいくらお世話をしたところで赤ちゃんから感謝されることはありません。
お給料も貰えません。
また、未だに「育児はやって当たり前」という考えを持つ方が多く、周りの人から褒めてもらえるケースは少ないと言えるでしょう。
必死の思いで育児をしているのに、誰からも褒めてもらえない場合は、承認欲求がまったく満たされないことでしょう。
コントロール欲満足度の比較
コントロール欲とは、自分の思い通りに物事を進めたいという欲求です。
仕事では、自分の思い通りにいかないときは多々あります。
クライアントや上司から無茶の注文をされたり、進行中のプロジェクトに問題が発生したりして、うまくコントロールできないとストレスが蓄積されます。
しかし、仕事では相手が大人である以上、ある程度はこちらの意見を聞いてくれたり、話し合ってくれたりすると思います。
一方育児では、言葉の通じない赤ちゃんが相手なので、思い通りにいかないことの連発です。
例えば,食べ物ベトベトの手で抱きついてきたり、目を話した隙にお財布の中のお札をビリビリに破っていたり、洗濯物を畳んでいるそばからぐちゃぐちゃにしたり、ティッシュ箱のティッシュを全部出したりとキリがありません。
達成欲満足度の比較
達成欲とは、目的を成し遂げたいという欲求です。
仕事の目的は、突き詰めれば「仕事を終わらせること」と「お金を稼ぐこと」です。
仕事には必ず一日の終わりがあるので、毎日の退勤時には達成感が得られます。
会社を出て
「あ〜、今日も一日終わった〜!」
と気持ちが切り替わることでしょう。
また、毎月お給料が貰えることにより、達成欲が満たされます。
また、大きなプロジェクトを達成したときには、達成欲を大きく満たすことができます。
しかし、帰宅直後に急な仕事を振られたり、持ち帰りの仕事が残っていたり、業績悪化でボーナスがカットされたりなどの達成欲解消の邪魔が入るとストレスが生じるでしょう。
一方で、育児の目的は子どもの成長です。
「赤ちゃんにたくさん話しかけていたら、ついに言葉をしゃべった!」、
「あんよの練習をしていたら、ついに一歩踏み出した」
など、子どもの成長を実感することで達成欲は満たされると考えられます。
成長は着実に進みますので、達成欲の妨害は無いと思われます。
しかし、子どもは毎日のように何か新しいことができるようになるわけではありません。
その上、育児は24時間フルタイムなので一日の終わりによる達成感を得ることができません。
毎日必ず退勤できる仕事と比べると達成欲が満たされる頻度は少なくなります。
最終結果
仕事と育児の大変さをストレスのかかり具合で比較しました。
ストレスは、欲求解消行為が妨害されたり、欲求不満が続いたりすると、生じやすくなることから、仕事と育児の各欲求の満足度を比較しました。
育児 > 仕事
育児 ≒ 激務の仕事
育児 > 仕事
育児 > 仕事
育児 ≒ トイレ制限のある一部の職業
育児 > 仕事
育児 > 仕事
育児 > 仕事
以上のことから、一般的な仕事によりも育児の方がストレスを感じやすい状況であることが分かりました。
仕事と育児の大変さは、各ご家庭の状況により異なります。また、ストレスの感じ方(ストレス耐性)には大きな個人差がありますことをご了承ください。