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バイアス教育と心理学のブログ

【心理学的考察】結婚式を挙げるメリット・デメリット

結婚式の心理学的メリット&デメリット


皆さんは、これから結婚式を挙げるおつもりでしょうか?

とても高いお金を支払って挙げるのですから、それに見合ったメリットがないと納得して結婚式をできませんよね?

よく見聞きする典型的なメリットとしては、

「一生に一度の思い出が作れる」

「家族や友人に喜んでもらえる」

「パートナーとの絆が深まる」

などがあるでしょう。

一方で、デメリットとしては、

「お金がかかる」

「準備が面倒くさい」

などがあります。

本記事では、これらとは違った心理学的な面から結婚式を挙げるメリットとデメリットを紹介したいと思います。

メリット① 結婚式を挙げると離婚率が下がる?

アニヴェルセル総研の調査によると、離婚した人と離婚していない人の結婚式・披露宴の実施率に4倍もの差があることが判明しました。

【結婚式・披露宴の実施率】

離婚していない人 65.5%

離婚した人 13.4%

引用元:https://www.anniversaire.co.jp/brand/pr/soken1/report30/

つまり、離婚していない人たちの半数以上は結婚式・披露宴を挙げているのに対して、離婚した人たちの8割以上が挙げていないことになります。

この結果は、結婚式を挙げると離婚しにくくなる可能性があることを示唆しています。

【理由】なぜ離婚しにくくなるのか?〜サンクコスト効果〜

結婚式を挙げると離婚しにくくなる理由として、サンクコスト効果(別名コンコルド効果)の影響が考えられます。

サンクコスト効果とは、それまでに支払ったお金や労力を「もったいない」と感じ、元を取りたいと思う心理効果です。

つまり、

「高額な費用を払って結婚式を挙げたのだから、離婚したらもったいない」

「2人で一生懸命に準備して結婚式を行ったのだから、幸せにならないと損だ」

という心理が無意識的に働いて、結婚式・披露宴を挙げたカップルの離婚率が低下しているのだと考えられます。

メリット② 結婚式後、カップルの約9割が「やって良かった!」

ぐるなびウェディングのアンケート調査によると、結婚式を挙げたカップルの9割以上が「実施して良かった」とポジティブな感想であることが分かりました。

【実施して良かった】

かなりそう思う 32.9%

そう思う 58.8%

そう思わない 6.7%

まったくそう思わない 1.6%

引用元:https://wedding.gnavi.co.jp/category/basic/01/

この結果から、ほとんどの人が結婚式を実施したことに対して、心理的にポジティブな印象を抱いていることが分かります。

多くの人がやって良かったと思っていることは、これから結婚式を挙げる予定の人にとって大きな安心材料でしょう。

【理由①】やって良かったという記憶にすり替わる〜認知的不協和と自己欺瞞

なぜほとんどの人が結婚式を挙げて良かったという気持ちになるかというと、認知的不協和と自己欺瞞が関係していると考えられます。

例えば、結婚式を挙げた結果「あまり楽しめなかった」という負の感情になったとしましょう。

すると心の中に「たくさんのお金や労力、時間をかけたのだから良くないはずがない」という別の気持ちが芽生え、初めに思った負の感情と葛藤を起こします。

これが認知的不協和です。

さらに、

「自分は楽しめなかったけど、パートナーは最高に楽しんでいたから、やっぱり結婚式は挙げて良かった」

「親族がとても感度してくれたから、結婚式を実施して正解だった」

などの都合の良い考えで、無理矢理自分を納得させます。これが自己欺瞞です。

つまり、もしも結婚式が良くなかったとしても、一定数の人は認知的不協和と自己欺瞞の効果により「良かった」というイメージに変化します。

これが、9割以上の人が結婚式を挙げて良かったと回答した理由の一つでしょう。

【理由②】やって良かったという記憶が強く残る〜ピーク・エンドの法則〜

結婚式を挙げて良かったと9割以上の人が感じる理由にはもう一つあります。それは、ピーク・エンドの法則です。

ピーク・エンドの法則とは、できごとの印象は、そのできごとの絶頂期(ピーク)と最後(エンド)で決まるという心理効果です。

「終わり良ければすべて良し」ということわざ通りの法則です。

結婚式を挙げるまでの準備期間はやることが多くてとても大変です。

また、挙式当日への不安が続きます。

しかし、いざ本番を迎えると式場スタッフの方々が盛大に盛り上げてくれたり、友人が余興をしてくれたりと、とても楽しく幸せな気分で結婚式を終えることができます。

ピーク・エンドの法則により、準備期間に感じた苦労や不安な気持ちの印象は薄れ、ピーク時と最後に味わった「楽しく幸せな気持ち」が結婚式後に強く残ります。

この結果、多くの人が結婚式を挙げて良かったという気持ちになるのだと考えられます。

デメリット① 挙式の準備で必ずケンカする?

結婚式や披露宴の準備は1年くらい前から始まり、さまざまなことをやらなくてはならないためとても大変です。

特に共働きだったりすると、毎週末を結婚式の準備に費やさないといけない場合も多く、ストレスがたまってくると思います。

そのような状況では、新婚の夫婦でさえ、意見の食い違いが必ず出てきます。これを対人葛藤と呼びます。

例えば、

【妻の意見】

夫に主体性がなく、結婚式の準備を私に任せきり

重要なドレス選びなのに、夫が「どっちでも良いよ」と発言したのが、真剣に考えてくれていないようで悲しい

【夫の意見】

僕は結婚式に特別こだわりがあるわけじゃないから、こだわってる妻が決めればいい

ドレスはどっちも似合ってるのだから、最終的に着る本人が決めるべきだろう

このような意見の食い違い放置して、それが積み重なると、取り返しがつかない関係になる可能性もあります。

【理由】男女の考え方に違いがある

男女の考え方には心理学的な違いがあります。

例えば、話し合いをするときは

 

女性:共感して欲しい

男性:効率的な会話をしたい

 

目的を達成するときは

女性:目的までの過程が大事

男性:得られる結果が大事

 

どちらか選ぶときは

女性:直感的に考えて選ぶ

男性:客観的根拠を持って選ぶ

 

一般的にこのような違いがあると言われています。

これらの思考パターンの違いは、人類の進化の歴史で獲得したといえます。

大昔は、複数人の女性が住処の中に集まり、木の実潰しなどの手仕事を担当し、男性は狩猟を行っていました。

この生活様式の違いから、うまく生き残るための思考パターンを獲得したのです。

そして、男女の思考傾向の違いが生じました。

【解決策】ほめる・感謝する

相手がしてくれたことに対してらほめることと感謝することは、相手の気分が良くなるだけでなく、次の行動を促すことにも繋がります。

例えば、

妻「この挙式の資料、作ってくれてありがとう!すごく分かりやすいね!」

夫「おぉ。そうか。じゃあ次の資料作りも俺に任せとけ!」

また、

夫「このウェルカムボード、細部まで小さな花が付けられててすごくかわいいね!大変だったんじゃないか?作ってくれてありがとう!」

妻「まぁ!よく気付いてくれたわね!うれしい!」

などというように忙しい状況下でも、ほめて感謝することにより、良好な関係性を作れます。

ポイントは

「プライドを捨てること」

「具体的にほめること」

です。

そうすれば、大変な結婚式の準備も仲良く進められるでしょう。

デメリット② 冷静に考えると費用がすごく高い

結婚式の価値は人それぞれです。

費用が高すぎると考える人もいれば、500万円でも安いと感じる人といます。

要は、結婚式を挙げた本人が、支払ったコスト(お金、時間、労力)よりも大きな価値を、得られた経験に見出せるかが大切です。

しかし、我々が感じる価値には、本来の価値に心理効果が上乗せされています。

この心理的な錯覚を知ってから結婚式の費用が高いのか安いのか客観的に考えてはいかがでしょうか?

【理由】希少性の原理により結婚式費用が高くなっている?

希少性の原理とは、スウェーデンの経済学者カール・グスタフ・カッセルが提唱した「珍しい物の値段は高くなり、ありふれた物の値段は安くなる」という現象です。

例えば、同じ石でも川原の石っころには値段なんて付きませんが、宝石にはとても高い価格が付きます。

また、近くの公園で捕まえたカブトムシはせいぜい数百円の価値しかありませんが、ヘラクレスオオカブトは1匹数万円で取引されています。

これと同じで結婚式も「一生に一度しかできない」という希少性と「今しかできない」という限定性が結婚式の相場価格を押し上げていると考えられます。

もし、結婚式がいつでも何度でも自由にできるイベントだったら、価値はもっと低いでしょう。

重要なのは、内容が同じでも希少性が高くなれば、価格も高くなるということです。そう考えると、現在の結婚式の費用は高いかもしれませんね。

【解決法】節約できるところは節約する〜コントラスト効果にだまされない〜

結婚式の費用の中には、節約できる部分があります。

会場や食事の料金はきちんとお金を使うべきですが、ペーパーアイテムやウェルカムボード、リングピローは手作りしても、意外と自作だとは気づかれにくいです。

これらを自作することで結婚式費用を抑えることができます。

この程度では、大した節約にならないと思っている方は、コントラスト効果に騙されています。

コントラスト効果とは、比べる物によって物の印象が変わる心理効果です。

例えば、「披露宴の料理代金は120万円です。」と説明を受けた後に、「ウェルカムボード制作費は3万円です。」と言われたら「たった3万円か」という印象を抱くと思いますが、日常生活品と比較すると3万円はかなり高額です。

節約できればかなり大きいです。

結婚式費用を考えるとき、会場代や食事代、衣装代がとても高額なため、こまごました製作物の料金が割安に感じやすくなっています。

コントラスト効果による値段の錯覚に騙されずに、節約できる部分は節約しましょう。

まとめ

本記事では、心理学に基づいた結婚式のメリットとデメリットを紹介しました。

【メリット①】
結婚式を挙げると離婚率が下がる
【原因】
サンクコスト効果の働きにより、結婚式までして離婚したらお金と労力が無駄になってしまうという心理が生じる。

 

【メリット②】
9割以上の人が「やって良かった」と感じる
【原因】
認知的不協和と自己欺瞞の影響により、実際の記憶が良かったという記憶にすり替わる。また、ピーク・エンドの法則も働き、挙式の最後のポジティブな記憶が強く残りやすい。

 

【デメリット①】
結婚式の準備期間にケンカ(対人葛藤)が起こる
【原因】
男女の考え方には心理学的な違いがある。
【解決法】
相手がしてくれたことに対して感謝する。相手の結果をほめる。

 

【デメリット②】
冷静に考えると費用がとても高い。
【原因】
希少性の原理に基づいて、式の代金の相場が高くなっている可能性がある。
【解決法】
コントラスト効果に注意して、節約できる部分は節約する。

 

いかがでしたでしょうか。これから結婚式を挙げる方の参考になれば幸いです。